西加奈子 白いしるし📕
久しぶりに本を読んだ。
西加奈子著 白いしるし
最近仕事とライン📱以外で文字をほとんど読まない。
たくさんの文に触れること。前の職場の上司は、自分が書く文が綺麗になると言い、今の上司は考える癖がつくと言う。
私は読んでいる時自分が無になる気がして、現実の自分と全く違うまわりの世界を見る快感を感じる。
最近は目の前の小さな現実ばかりに向き合って、上司の言うとおり考える機会を失ったり、想像力に欠けた言動が多かったかも。
本当にハマる本は、意識しなくてもそういうことを一気に取り戻してくれる、気がする。
西加奈子さん、大学卒業前に「うつくしい人」と出会ってから好きな作家さん。
文体、情景描写がみずみずしく繊細。
自分は主人公のような性格でなく、そんな気持ちになったことがないのに、すごく共感し、悩みとか嬉しいと感じることとか、手に取るように感じられてしまう気がする。怖いくらいに。
でも、あんなに感情移入したはずなのに読んだ後は、すっと独特な感情の感じ方、考え方は私から抜けていってしまう。
映画を見てる感じ。
押し付けじゃないけど、いろんな描写を見せてくれる。
「白いしるし」は私から見れば、社会的に不安定で感受性が強い夏目の人生に、大きな影響を与えた1つの恋の物語。
惹かれていくのはこれまた社会的に不安定だし、どこかに闇を抱える優しい男性。
その人のために自分が苦しいことも忘れて必死で恋をする。彼のどこにそんなに惹かれるのか、自分でもわからないのに、全てに気持ちが持っていかれるし振り回される。
そして叶わない望みだと知り、自ら崩壊していき、彼女は少しずつだが前向きなエネルギーに変えていく。
狂気的な恋愛小説だった。